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概要

日英統計翻訳の困難な点の1つとして,日本語と英語の語順が異なることが挙げられる.この問題を解決するために,日本語文の単語を並び替えて,英語文の語順に近づけてから,統計翻訳をする研究が盛んに行われている[1][2].

岡崎ら[3]によると,日本語文の主語,目的語,動詞(SOV)を主語,動詞,目的語(SVO)の順に語順変更を行うだけでは翻訳精度は向上しなかった.一方,星野ら[4]によると,述語項構造に基づく語順変更を行ってから,句に基づく統計翻訳を行うことで,翻訳精度が向上した.しかし,これらの研究は翻訳される英語文の語順を推定して,日本語文の語順変更を行っている.そのため,目標とする英語文の最適な語順に並び替えられていない.

そこで,本研究では語順変更の手法の限界を調査するため,テスト文に参照文があると仮定し,日本語文を英語の参照文の語順に並び替える.その後,句に基づく統計翻訳を行い,語順変更の効果を調査した.

実験の結果,日本語文を英語文の語順に並び替えてから,句に基づく統計翻訳を行っても,人手評価で差は見られなかった.このことから,語順変更では翻訳精度の大きな向上が見られないと考える.





平成28年3月16日