概要
機械翻訳には様々な手法がある. 安場らは, 新たな手法として, “相対的意味論に基づく変換主導型統計機械翻訳(以下, TDSMT)[1]を提案した.
TDSMTは学習文対を変換し, 翻訳を行うため文法性の高い翻訳が期待できる.
しかし, TDSMTは, 未知語が出現した際に入力文に対する出力文の数(以下カバー率) を向上させるため, 未知語を原言語のまま出力している.
このため, 出力文中に未知語が日本語のまま出力され, 相当する文意が読み取れないという問題がある.
そこで本研究では, TDSMTにおける未知語の翻訳をニューラル機械翻訳(以下, NMT)によって行い, 翻訳精度の向上を目指す.
実験の結果, 提案手法は未知語を含む文章の翻訳において, 従来手法よりも優れた精度を示した.
しかし, 未知語を含まない文章の翻訳においては, NMTによって, かえって精度が低下した.
今後は, 後編集など, 適切な場面でのみNMTによる未知語処理を適用する方法を考える必要がある.