この文型パターンを用いた翻訳は,最初に英語パターンにより英語文の構 造を決定するため,英文全体の構造をおおまかに保つ利点を持つ.しかし,局 所的な翻訳 の結果は非決定的であり,英文の表現生成をするためには,翻訳結果の選択を 行う必要がある. これに対し,他の日英機械翻訳方式である統計翻訳は,日英の言語モデルを用 いて部分翻訳の候補の中から,確率による選択を行い,尤もらしい英文を生 成できる特徴を持つ.
そこで,本研究では,文型パターン辞書を用いた英文の表現生成を実現するた めに,統計翻訳の特徴に着目し,日英パターン翻訳方式として,以下の手順を 提案する.まず英語文の構造を英語 パターンにより決定して,記述子の局所的な翻訳結果を候補として非決定的に 英語パターンに代入し,確率により候補の選択を行い英語文を生成する.次に, この翻訳方式に基づき実装を行い,実装したシステムの評価実験をする.
本論文の構成は以下の通りである.第2章で研究の背景について説明す
る.第3章では提案する日英パターン翻訳方式を説明し,第
4章では翻訳実験システムの実装を説明し,第5章では評価
実験を述べ,第6章では今後の開発に関して述べ,最後に第
7章で結論と今後の課題を述べる.