自由発話における間投詞の種類と出現確率

自由発話において観測された間投詞の種類のなかで、出現頻度の高いものを図 6.4に示す。また観測された間投詞を表6.4に示す。この図から、間投詞の種類はかなり多いが、上位４種類で間投詞全体の出現頻度の約７割を占めていることがわかる。

**図 6.4:** 自由発話における間投詞の種類と出現頻度
$\begin{figure}\begin{center} \fbox{\epsfile{file=FIGURE/figure3.2.1.ps,width=100mm}}\end{center}\end{figure}$

自由発話中では、しばしば間投詞と言い淀みの区分が不明確になる。例えば「100パーセント、え日本語と英語で行われます。」における「え」は、間投詞とも「英語」の言い淀みとも解釈できる。また、語尾音の継続時間には、話者間に大きなバラツキがあるため、語尾の伸びる語と伸びない語（例えば「えー」と「え」）の決定は、文字化した人の判断に依存している。ここで示した間投詞の出現頻度のデータには、このような意味で曖昧さがある。

なお、話し相手と対面して話す自由発話に対して、電話のような音声のみによる対話では、間投詞は相手の注意を促す役割を持つ場合がある[19]。このため、今回調査した間投詞の出現頻度は、高めに評価されている可能性がある。

また、自由発話における間投詞の出現頻度は多くの研究期間で報告されている。文献 [34]や文献[80]では日本音響学会連続音声データベースの書き起こしテキストを調査して報告している。また、文献[19]では、本章で使用したデータベースの小量のときの開始符合の種類を示している。この場合、「えー」、「えーっ」などの単語が多いことを報告している。また、文献[66]ではNHKラジオ第一放送の電話相談番組を書き起こしている。これらの報告と比較すると比率に多少の違いがあるが、高頻度で生じる間投詞に関してはほぼ同じ割合といえる。

**表 6.3:** 自由発話における間投詞の一覧
間投詞	出現回数	間投詞	出現回数	間投詞	出現回数
「あ」	604	「えーっとお」	1	「その」	115
「あー」	268	「えーっとですね」	8	「そのー」	48
「あーっと」	2	「えーと」	466	「だか」	1
「あーと」	1	「えーとー」	4	「ちょっと」	8
「あーん」	5	「えーとですね」	3	「つ」	2
「ああ」	7	「えーまあ」	3	「で」	61
「あっ」	151	「えーん」	2	「でー」	13
「あっと」	1	「ええ」	13	「でぃ」	1
「あと」	1	「ええー」	1	「と」	77
「あなー」	1	「ええっと」	1	「とー」	11
「あの」	1809	「えっ」	22	「ねー」	1
「あのー」	2025	「えっーと」	4	「のー」	1
「あのーえー」	1	「えっと」	62	「は」	4
「あのう」	77	「えっとー」	11	「はあ」	1
「あのうー」	3	「えっとおー」	1	「はあー」	2
「あのと」	1	「えと」	47	「ははぁーん」	1
「あれ」	1	「えとー」	13	「ひ」	1
「あん」	1	「えへへっ」	1	「ふーん」	2
「い」	26	「えん」	1	「ま」	263
「いー」	58	「お」	59	「まー」	8
「いゃー」	1	「おー」	196	「まぁ」	186
「いやー」	2	「おーえー」	1	「まぁね」	1
「う」	23	「おっ」	2	「まあ」	176
「うー」	71	「ぐっ」	1	「まああのう」	1
「うーん」	26	「こう」	9	「まあまあ」	1
「うーんと」	2	「この」	9	「まっ」	5
「うっ」	1	「このー」	4	「も」	2
「うん」	7	「じゃ」	4	「もう」	1
「え」	1040	「じゃー」	1	「よ」	1
「えー」	3105	「じゃあ」	1	「りー」	1
「えーえ」	1	「す」	8	「わあ」	1
「えーちょっと	1	「すー」	2	「わっ」	1
「えーっ」	1	「すい」	1	「ん」	27
「えーって」	1	「すっ」	2	「んー」	19
「えーっと」	256	「せ」	1	「んっ」	1
「えーっとー」	2	「そ」	2	「んっと」	1
「えーっとえー」	1	「そう」	1	「んで」	1
				「んと」	2