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自由発話における言い直しの種類と出現頻度

自由発話において特有な言い誤りは、文法的、意味的な前後関係を考慮して決定する必要 がある。また、言い淀みは音声を注意深く聞いて決定する必要がある。したがって言い誤 りや言い淀みの言語現象は話者が言い直さないかぎり検出するのは困難である。したがっ て、ここでは言い直しの出現頻度のみを研究した。調査は言い直しを含む200文に対して行 なった。この言い直しの分類と出現頻度を、図 6.5に示す。また例文を以下に示めす。例文中 においてアンダーラインは言い直しを意味する。

図 6.5: 言い直しの出現頻度
\begin{figure}\begin{center}
\fbox{\epsfile{file=FIGURE/figure3.3.ps,width=140mm}}\end{center}\end{figure}

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自由発話における言い直しの例文

  1. 無意味な単語の挿入 25%

  2. 意味の異なる単語の挿入 18%

  3. 同じ単語の繰り返し 14%

  4. 単語の言い直し 13%

  5. 助詞の誤り 10%

  6. 丁寧な単語を用いた言い直し (名詞) 13%

  7. 丁寧な単語を用いた言い直し (動詞) 7%

この図における言い直しの分類は、かなり主観的である。例えば、単 語の意味の違いは明確でないため『意味の異なる単語の挿入』と『丁 寧な単語での言い直し』の区別の差は明確でない。また、日本語では 単語の概念が曖昧なため、『同じ単語の繰り返し』と『単語の言い直 し』の区別の差も明確でない。

なお文献[75] では言い直した単語に着目して、言い直した単語の 長さを報告している。これを見ると言い直しの59% は、言い誤った単語を直 ちに言い直している。この傾向はほぼ同じである。また文献[62] においてもほぼ同様な結果が見られる。この論文では単語にならないsyllable が39%、直後に言い直しているのが52%であることが示されている。これらの 結果は、今回の結果に類似している。



Jin'ichi Murakami 平成13年1月5日