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表11のように本手法の翻訳精度は68.2%と,アンカー和英辞典を用い
たときより5%低下した.実験に使用した文が,テンス・アスペクトについて
学習するためのテキストに対訳をつけたものであり,進行形や完了形もまん
べんなく網羅しているために精度が低下したと思われる.
また,本手法と市販ソフトの正解・不正解の重なりを調べた.以下の表12に示す.
Table 12:
本手法と市販ソフトとの正解・不正解の重なり
両方正解 |
本手法のみ正解 |
市販ソフトのみ正解 |
両方不正解 |
65文 |
38文 |
13文 |
35文 |
表12から本手法では誤ったが,市販ソフトは正解を出力した文は13
文存在した.13文中10文がテイル形を誤った英語時間表現に翻訳し,残る3文は,
動詞の時間的性質から正しい時間表現に翻訳できたにも関わらず、時間副詞の情
報を使うことで,誤った時間表現に変更している.時間副詞によって誤った時間
表現に翻訳した例を以下に示す.
|
(35) |
He is certain to become a first rate pianist ten years from now.
正解 : 単純現在形
本手法の訳 : 単純未来形
市販ソフトの訳: 単純現在形
例文35においては,時間副詞「十年後」から本手法は
単純未来形と翻訳した.しかし,正解は,モダリティーの確信を意味する単純現
在形となっている.本研究では,テンス・アスペクトに分類
される時間副詞を対象としたが,「きっと」のようなモダリティーに分類される
副詞についても規則を構築する必要がある.
2002-03-07