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表4で分類できない時間副詞についても拘束条件を指定する.本稿
では,習慣と完了を表す副詞を対象とする.
・「習慣」を表す時間副詞
(例) いつも,よく,つねに,しょっちゅう,このごろ
(例文) 彼は,いつも廊下を走っている.
(拘束条件) E=R,E(P)のときはEに
表6で,時間区間が「間隔」を表す時間副詞と似た性質を持つ
副詞である.
つまり,例で示した副詞がテイル形と共に用いられても,進行中の動作で
はなく,習慣や反復性を持つ事象をひとまとまりとして捉えている.拘束条件に
は表6における時間区間が「間隔」を表す時間副詞と同じ条件を指
定する.
・「完了」を表す時間副詞
(例) もう,かって,すでに,ちょうど,とっくに
(例文) 雨はとっくにやんでいる.
(拘束条件) タ形・テイル形 : E→R=S
テイタ形 : E→R→S
完了を表す時間副詞がタ形・テイル形の文に用いられたときは,過去の
事象の完了を発話時から捉え,テイタ形の文と用いられたときは,過去の事象の
完了をある過去時から捉えている.上の条件では,発話時,事象時,参照時を3
つとも条
件として指定しているため,どのような動詞であっても時間関係は一つに絞られ
る.
2002-03-07