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時間副詞による拘束条件

4で分類した時間副詞に拘束条件を指定することにより時間関 係を詳細化する.拘束条件には,S(発話時),R(参照時),E(事象時)の間の関係 を指定する.以下の表6に拘束条件を示す.基準時が絶対表現・内容時基準・不明,また,基準時とのテンスが同時に分類さ れる時間副詞は,時間関係を指定できな いため拘束条件からは除外する.

   
Table 6: 時間副詞による拘束条件
  基準時とのテンス
  以前 以後
  時点 E→S S→R
  開始時 E→R S→R
[0cm][0cm] 時間区間 終了時 E→S ?
  間隔 E=R ( E(P)のときは Eに)

基準時とのテンスが「以後」の場合、時間区間が「時点」・「開始時」とも,発 話時以後を基準にして未来の事象を捉えている.そのため,拘束条件を「S →R」とする.時間区間が「終了時」の時は,「明日まで勉強をしている.」の ように現在も継続中の可能性があるため、時間関係の判別が不可能である.

基準時とのテンスが「以前」であり,時間区間が「時点」・「終了時」の時は、 発話時以前の事象を述べているため拘束条件を「E→S」とする.ここで, 拘束条件を「R→S」でなく「E→S」としたのは、「彼は2年前に死 んでいる.」のように,現在を基準に過去の事象を捉える場合があるためである. 時間区間が「開始時」の時は、過去に開始した事象の基準時までの継続を表して いるため,「E→R」とする.

時間区間が「間隔」の場合は,基準時とのテンスが「以前」・「以後」に関わり なく、習慣的な事象をひとまとまりとして捉えているため拘束条件を「E=R」とする.テイル形であっても,事象の継続性が失われるため,事象時が E(P)をとることはないとする.



2002-03-07