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適切なフレーズ対の増加

「適切なフレーズ対の増加」は,「従来手法において,不適切なフレーズ対で翻 訳されていたフレーズが,提案手法によって改善され,翻訳精度が向上した文」 である.提案手法において翻訳精度が向上した42文中に,単文の翻訳結果で6文, 重文複文の翻訳結果で11文あった.例を以下に示す.

入力文 あなた 方 は 収入 に 応じ て 暮らす の が よい 。
従来手法 Living for you to meet a good income .
提案手法 You ought to live in accordance with the income .

ここで,従来手法の出力文が用いたフレーズ対と提案手法の出力文が用いたフレー ズ対を表[*]に示す.


表: 出力文が用いたフレーズ対(適切なフレーズ対の増加)
従来手法が用いたフレーズ対 提案手法が用いたフレーズ対
あなた $ \vert\vert\vert$ you あなた 方 は $ \vert\vert\vert$ You
$ \vert\vert\vert$ to 収入 $ \vert\vert\vert$ income
は 収入 $ \vert\vert\vert$ income に 応じ て $ \vert\vert\vert$ in accordance with
に 応じ て $ \vert\vert\vert$ meet 暮らす $ \vert\vert\vert$ to live
暮らす の $ \vert\vert\vert$ Living for $ \vert\vert\vert$ the
が よい $ \vert\vert\vert$ a good が よい $ \vert\vert\vert$ ought
$ \vert\vert\vert$ . $ \vert\vert\vert$ .

従来手法の出力文では,``あなた''と接尾辞である``方''が異なるフレーズ対で 翻訳されている.しかし,日本語側の``あなた''の接尾辞``方''に対応する単語 は英語には存在しない.統計翻訳では,言語間の単語の対応の差をフレーズ対と その並び替えで補うが,本出力文では補いきれず,適切な翻訳ができなかった.

一方で,提案手法の出力文では,文節区切りフレーズテーブルのフレーズ対``あ なた 方 は $ \vert\vert\vert$ You''により,``あなた''と``方''が同じフレーズ対で翻訳さ れている.そのため,フレーズ対により言語間の単語の対応の差を補うことがで き,出力文全体の精度が向上した.

このことから,長いフレーズ対,特に文節を区切りに用いたフレーズ対には,助 詞や接尾辞といった日本語と英語の文法構造の違いを補う効果があると考えてい る.



平成22年2月17日