ところで、結合価パターンは,体言と用言の意味的な関係をパターン形式で表
現したものであり,機械翻訳では,原言語のパターンと対応する目的言語のパターンを対にした結合価パターン対辞書が使用
される.パターン対辞書の設計では,原言語のパターンに適合した入力文に対して,目的言語のパターンが一意に決定
できるようにする必要がある.このため,参照する日英パターン辞書では,日本語パターンは,適合したすべての日本文が対応する英語パターンを用いて翻訳できるよ
うに,カバー範囲が決められている.従って,日中翻訳の場合は,この辞書に登録された日本語パターンは,必ずしも中国語
のパターンに1対1に対応しない可能性がある.
そこで,本研究では,作成した日中結合価パターン辞書を用いた翻訳実験から,日中翻訳における日本語パターンの構成法上
の問題点とそれを用いた結合価パターン方式の可能性を明らかにする.