次へ: 適合頻度とパターン適合率と翻訳評価の関係
上へ: 考察
戻る: 正解パターン2
目次
過剰に汎化されたと考えられる文型パターン(3件)が与える影響を考察するために,
包含関係による縮退までを行った辞書(D3)と,
この3件を削除した,縮退版文型パターン辞書(D4)を比較する.
表7より,
辞書D4は辞書D3と比べて,再現率(,)が大きく減少したことが分かる.
つまり,この3件の文型パターンのみが適合する入力文が多く存在することが言える.1
しかし,表8,9の結果から
意味的な被覆率
は,辞書D3,D4のどちらも同じ値となっている.
さらに,正解率,の両方ともが向上している.
したがって,過剰に汎化された文型パターンを削除することで,
再現率は低下するが,意味的な精度が変化しなかったため
文型パターン辞書としての精度は向上したと考えている.
そこで,3.3節で調査した,適合頻度上位10件の文型パターンを調査した.
その結果,過剰に汎化された文型パターンを,本研究で削除した3件に加え,新たに4件発見した.
- 適合頻度: 9,245
- 日本語文:
- すばらしく見事な身のこなしでステージを移動した。
- 日本語文型パターン:
- /y </tk は> #2[/cf すばらしく /f 見事な /f 身の /k こなしで] /tcfk を /cf .kako 。
- 英語文:
- He moved across the stage with marvelous deftness.
- 英語文型パターン:
- <He|> ^past across #2[with marvelous deftness].
- 適合頻度: 7,067
- 日本語文:
- 聴衆は思ったように反応した。
- 日本語文型パターン:
- /y $1^{/tcfk は} #2[/cf (思っ|おもっ|惟っ|意っ|憶っ|懐っ|想っ|念っ) た (ように|様に)] $1 /yf (.kako| をした) 。
- 英語文:
- The audience reacted predictably.
- 英語文型パターン:
- V(|)^past #2[predictably].
- 適合頻度: 7,067
- 日本語文:
- 彼女は涙ぐみながらほほえんだ。
- 日本語文型パターン:
- /y $1^{/tcfk は} #2[/cf ながら] $1 /yf .kako 。
- 英語文:
- She smiled in a mist of tears.
- 英語文型パターン:
- ^past #2[in a mist of N()].
- 適合頻度: 7,062
- 日本語文:
- 街路に群がり集まった。
- 日本語文型パターン:
- /y </tk は> /tcfk に #3[/cf (群がり|叢り|簇り|羣がり)] /yf .kako 。
- 英語文:
- They swarmed the streets.
- 英語文型パターン:
- <They|> ^past .
したがって,今後さらに過剰に汎化された文型パターンを削除することで,
意味的に不適切な文型パターンへの適合が減少し,辞書の精度が向上すると考えられる.
次へ: 適合頻度とパターン適合率と翻訳評価の関係
上へ: 考察
戻る: 正解パターン2
目次
平成19年3月1日