日本語における引用節の時間関係を決定するには,主節の時間を基準に決定すれ
ばよい.
では,主節の「私は思った」時点で引用節の
「彼がごはんを食べに来る」という事象が以後に行われることを表している.では,同じ時点で「食べに来る」という事象が過
去に行われたことを表している.では,主節の
「私は思う」という発話時現在の時点で,「食べに来る」という以後の事象を表
している.つまり,引用節が表す時間は,主節の時間を基準に考えれば良い.
引用節を含む日本文から時間関係を決定する手順を以下に示す.
なお,主節、引用節の時間関係を決定する際には,単文と同じ5.1.2節の表 2,3に示した規則を用いる.ただし、表 2において外的動作動詞・変化動詞の場合,発話時と参照時の 関係がS=R=EまたはS→R=Eとなっているが,習慣をあらわす副詞と 用いられている場合を除いて,引用節について は,S→R=Eとする.なぜなら,引用節の動詞のル形は,習慣的な 事象というよりも,主節を基準にした未来の事象について想像したり,伝聞して いるからである.
以下に例を示す.