評価データの中には一文だけでは訳語か特定できない表現も存在した.例文を次 に示す.
例文28では本規則では「ところ」が語彙的意味で用いられ,場所の意味で使用さ れているという判断からplaceが訳語候補として選択された.しかし,実際には この一文だけで「ところ」の訳語を決定することはできない.この例文の場合は, 「想定した」に対する主格を補完する必要がある.また,「想定した」と「とこ ろ」の関係を見ると,内の関係にあることがわかる.このことから,底の名 詞である抽象名詞が複文構造において内の関係であるとき,抽象名詞の指し示す 概念を前後の文から補完することで,訳語が決定すると考えることができる.