これは,表記レベルの解析では訳語を特定するのが困難な場合で,単語間の意味 的関係をネットワークとして体系化した新たな概念体系や世界の一般知識を必要 とする場合である.
例文27は「もの」が本規則では''thing''となるが正解は''force''である.この 一文から「もの」の訳語である''force''を導くためには,「鼎立関係」や「キャ スチングボート(を握る)」などの語から連想する仕掛けが必要で,そのためには 新たな辞書を構築する必要があると考えられる.ある観点における単語間の類似 性判別という点では概念ベース(笠原ほか 1997)があるが,本研究の場合は,複 数の単語間における共通の観点を見つける必要がある.