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はじめに


自然言語処理の最大の問題点は,表現の構造と意味に関する解釈の多様性 である.なかでも抽象名詞の表す意味は多様であるために解析が困難である.

従来の抽象名詞の研究としては,「もの」の文法化に関する認知言語学的 考察[1] や,「Nのコト」を選択する述語の種類の分析[2] 等がある.これら抽象名詞に関する研究ではそれぞれ対象として いる抽象名詞の性質を明らかにしているだけで,文中での意味的役割には あまりふれられていない.

本研究では抽象名詞の「こと」を,日英機械翻訳への適用を考え英語表現 に対応づけ可能なレベルの意味に分類する.分類のための情報としては,主 として前後に出現する語の字面,品詞を用いた.

まず,2章では抽象名詞について述べる.3章では 日英翻訳の観点から「こと」の文中での役割を調べ,その特徴を示す. 4 章では「こと」の文中での意味的役割を明らかにする. 5 章では分類結果の精度を示すために,テストデータに適 用した結果を示す.6章では分類結果と評価結果からそ の考察を示す.




Noboru KURUMAI
2001-03-21