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話者8名における識別実験

ここでは、話者が8人の場合の識別実験結果について報告する。こ の場合、カテゴリーと話者の組み合わせが8!=40320通りあるため、 識別率評価方法において、計算量が多くなる。そのため、実験は長 時間窓分析のみ行なった。実験結果を図 8に示す。この図から次のようなことがわか る。

  1. 実験の結果、 $\mbox{\boldmath$B$}^{(0)}$のパラメータ をランダムにした時(実験1)、約50%の平均識別率しか得られな い。

  2. パラメータをすべて真値にした時(実験3)、 Forwardアルゴリズムでは平均識別率は87%の値を得たが、Viterbi アルゴリズムでは、平均識別率が45%しか得られない。この原 因は、不明である。

  3. いずれの実験でも、男性8名の場合は男性4名の時と比較し て、識別性能が、大幅に低下する。したがって、話者が多くなるに したがい、識別性能が急激に低下する傾向があると思われる。

図 8: 男性話者8名における学習回数と識別率との関係
\begin{figure}\begin{center}
\fbox{\epsfile{file=figure5.eps,width=75mm}} \end{center}\end{figure}

これらの実験から、ergodic HMMを用いて複数話者発話の識別問題 を扱う時、Baum-Welchアルゴリズムの学習における初期パラメータ の設定が重要であること、特にシンボル出力確率の設定が重要であ ることが示された。また、長時間窓分析のLPCケプストラムを用い ることにより、より良好な識別性能が得られることがわかった。



Jin'ichi Murakami 平成13年10月4日