next up previous
次へ: 自由発話における冗長語の種類と出現確率 上へ: 自由発話の言語的な特徴 戻る: 自由発話の文の長さ

自由発話における言い直しや冗長語の出現頻度

自由発話の音声には、「あのー」や「えーと」などの冗長語や、言 葉の言い直しおよび言い誤りなどがある。これらの言語現象は、通 常は朗読発声では存在しないため、従来の文法の枠組では、あまり 考慮されていなかった。そこで、自由発話における冗長語や言い直 しの出現頻度を調べた。この結果を図5に示す。

この結果において、冗長語も言い直しも共に存在しない文は、全体 の約5割であった。これらの多くは「はい」、「いいえ」、「もし もし」などの定型文であり、そのような文の8割は14文字以下であっ た。

冗長語を含む文は、自由発話の文の約5割をしめ、文字数の多い文 の多くは冗長語を含んでいた。ただし、冗長語には個人差が多く、 冗長語を多く話す話者とあまり話さない話者がいた。また、一人の 話者が話す冗長語の種類は少ないという傾向があった。

言い直しが存在する文は自由発話全体の約1割であった。また、そ の多くの場合、言い直しの前後に冗長語が付加されていた。

なお、今回使用した自由発話音声データは、アナウンサや、実際の 事務局員など、言葉の対応に慣れた話者によるものである。それに 対して、言葉の応対に慣れていない一般の話者では、冗長語や言い 直しの出現頻度が増加する可能性がある。

図 5: 自由発話における冗長語や言い直しの出現頻度
\begin{figure}\begin{center}
\fbox{\epsfile{file=figure5.eps,width=75mm}}\end{center}\end{figure}



Jin'ichi Murakami 平成13年10月5日