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自立語の変数化

語彙的な用法で使用された線形な自立語を以下の順序で変数化する.なお,機能的用法で使用された自立語は変数化しない.

(i)まず,日本語表現内の自立語に対応する訳語が英訳文中の同一の品詞の語(複合的な表現でも良い)として存在し,対訳辞書などによってその対応関係が決定できるものを日英同一の変数(変数名と変数番号共に同一)に置き換える.

(ii)残された日本語表現内の自立語のうち,線形なものを変数化する.この場合,英語側に意味的に対応する自立語がなくても良い.また,英語側の自立語で,日本語側に対応する自立語を持たないものは変数化しない.

<例>
下例のように、予め対訳辞書を使用し、単語の意味的な対応関係を決めておき、それが線形要素である場合はそのまま変数化する.


$\displaystyle \underline{手段}は\underline{目的}を\underline{達成する}ためのも..
...\underline{attaining} \verb\vert \vert a \verb\vert \vert \underline{purpose}.}$      

  $N1$ $N2$  $V3$            $N1$     $V3$    $N2$     $N1$は/$N2$$V3$ためのものだ。        $N1$ be for $V3.ing$ $N2$.

 以下,自立語変数化の個別的な方法を示す.
(1)
名詞の変数化

 語彙的用法の名詞と複合名詞を名詞変数Nに置き換える.但し,数詞,時詞は$NUM$$TIME$を使用する.また,機能語として使用された名詞「の,もの,こと,人,とき,場合,原因,理由」などは変数化しない.

 複合名詞の場合,英語文型に影響を与えるような接頭辞,接尾辞を複合名詞一部として名詞変数Nに含めるような変数化は行わない.そのような場合は,複合名詞を構成する要素の一部を字面で残し,「大手金融会社→大手$N$」などのように部分的に変数化しても良い.なお,$NN$のような変数化はパターン照合を難しくする割に効果がないので行わない.

(2)
動詞の変数化

 語彙的用法の動詞の「語幹+活用語尾」を動詞変数$V$に置き換える.機能動詞「ある,なる,いる,くる,する,行く,言う」などは,変数化しない.

 $V$$V$の複合動詞は,アスペクトの意味を有することが多いので,全体を1変数化せず,「$V$始める」,「$V$てみる」,などのように主動詞側を変数化し,アスペクト情報を担う動詞は変数化しない.また,$N$$V$のような複合動詞は,$N$$V$共に変数化しても良いし,いずれか,片方を字面としても良い.なお,命令形と連用形など文型パターン選択で活用語尾が手がかりとなる文型パターンについては,活用形指示関数を使用する.

(3)
形容詞,形容動詞の変数化

 形容詞,形容動詞の変数化は動詞と同様である.従って,形容動詞は「名詞+だ(助動詞)」とはしない.

(4)
副詞の変数化

 名詞の場合と同じである.但し,変数化の基本原則(i)を満たさない場合が多いと思われるので,注意が必要である.

(5)
品詞変換関数の適用

 日本語側の文型パターン要素が,英語文型パターンで文法属性の異なる自立語に対応するものを対象に「変数関数」を使用した文型パターン化を行う.対象となる表現部分は日本語側の$N$$V$がそれぞれ英語側で$V$$N$になるもので,英語側の要素を変数関数$V(N)$$N(V)$で表現する.



平成16年8月30日