状態数の増加にともなう、値を持つ(確率値が0.0ではない)シンボル出力確 率のパラメータ数の変化を基本的なBaum-Welchアルゴリズムを使用した場合と、本節で 提案した学習アルゴリズムを使用した場合の両者を図 9.20 に示した。
横軸はErgodic HMMの状態数で縦軸は、値を持つシンボル出力確率のパラメー タ数である。
この図から、本手法で学習した場合のパラメータ数は、通常の学習のパラメー タ数より大幅に減少することがわかる。状態数512 のErgodic-HMMにお いて、シンボル出力確率に値があるものは2106967 個であった。したがって本 稿で提案したアルゴリズムは基本的なBaum-Welchアルゴリズムと比較すると、 メモリ量および計算量を0.125% に削減していることがわかる。
ただし、同一の言語データにおける単語のbigramのパラメータの数は37,752、単語のtrigramで は78,138であった。この値と比較すると、Ergodic-HMMのパラメータ数はかなり多いといえる。