関連研究と本研究との相違点

先行研究の手法と,本研究の手法との相違として, まず,いずれの先行研究においても日本語英語間の翻訳実験が行われていない点が挙げられる.本研究では,対訳句を利用した日英ニューラル機械翻訳を提案し,語順の大きく異なる日英翻訳間において対訳句を利用する手法が有効であるかの検証を行う. また,本研究において,人手対訳句として対訳文から作成した大規模かつ高精度の対訳句を利用する実験を行っているが,同様の実験は先行研究において行われていない. さらに,先行研究において,対訳句は未知語の置換処理に用いる手法や,入・中間・出力層でのネットワークの計算に用いる手法がとられているが,学習データに追加する手法は提案されていないという点が異なっている. 本研究の提案手法では,対訳句を学習データに直接追加することで句レベルの対応を強化させ,Attentionの精度を向上させることを目的としている.提案手法の利点としては,対訳句を学習データに直接追加する手法であるため,モデルの拡張が容易である点があげられる.提案手法は,Attentionを利用し,より翻訳精度の高いと報告されるTransformerモデル[12]や,句に基づくアプローチをとる他のニューラル機械翻訳手法と提案手法を組み合わせることが容易であるという特徴がある.