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目次
蓮池ら[16]は,日本語能力上級レベルの韓国語母語話者(「AK」),
日本語能力上級レベルの中国語母語話者(「AC」),日本語能力中級レベルの韓国語母語話者(「IK」),日本語能力中級レベルの中国語母語話者(「IC」)を対象に
助詞(「に・で・を」)を選択させるアンケートを行い結果を分析した.
分析の結果を次に示す.
- 1
- 場所を示す格助詞のうち「に」と「で」の混乱が
顕著であった.しかし,韓国語母語話者では「で」の正答数が多く,中国
語母語話者では「に」の正答が多いという違いがあった.
- 2
- 韓国語母語話者は,母語からの類推により助詞を選択する傾向があった.特に中級レベルの学習者にこの
傾向が顕著である.
- 3
- 中国語母語話者には「に」を多用する傾向があり,中級レベルの中国語母
語話者には「に」の過剰一般化(自分の中で作られたルールを全て適用してしまうこと.例えば日本語学習者がkeepの過去形をkeepedのように書いてしまうこと)の現象がみられた.
- 4
- 中国語母語話者には,近隣の語(動詞,名詞)をヒントに助詞を選択する
傾向が強かった.特に中級レベルの中国語母語話者は,「ある」など特定の
動詞を,その意味に関わらずキーワードとして助詞選択に利用する傾向が
あった.
平成25年2月12日