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2)問題点2

日英統計翻訳において,主語がある日本語文の翻訳品質は低いが,主語を省略している日本語文の翻訳品質は高い事例が存在する.表3.14に例を示す.


表: 主語の補完が翻訳に悪影響を与える例
入力文1 試験 の 結果 に がっかり し た 。
出力文1 I was disappointed with the result of the examination .
入力文2 私 は 試験 の 結果 に がっかり し た 。
出力文2 I was disappointed with the result of the examination for me .

3.14の例では,原文は主語を省略している.一方,主語を補完した文は,原文の文頭に``私 は "を適切に補完し,主語を補っている.しかし,日英統計翻訳を行った結果,主語の補完が翻訳精度に悪影響を与えている.
3.14の例のように,主語の補完が翻訳に悪影響を与える場合,主語を補完しないことが適切である.しかし,主語の補完が翻訳に悪影響を与える日本語文は学習データに依存し,異なる学習データを用いた場合,主語の補完が翻訳に悪影響を与える日本語文も異なると考えられる.よって,日英統計翻訳を行う前に,主語の補完が翻訳に悪影響を与える日本語文を判別することは困難であると考えている.したがって,翻訳後に主語を補完すべきであるかを判断する必要があると考える.


平成25年2月13日