例1 | 彼-の お母さん-が ああ 若い-と-は 思わ-なかっ-た 。 |
例2 | ここ-で きみ-に 会お-う-と-は 夢にも 思わ-なかっ-た 。 |
例3 | 彼女-は 怠け者-で 自分-の 部屋-の 掃除-も し-ない。 |
日本語フレーズ | 英語フレーズ | 日英方向の翻訳確率 |
道路 の | of the road | 0.002 |
読ん だ | have read | 0.030 |
贅沢 に 暮らし て いる | lives in luxury | 0.0097 |
しかし猪澤らは,主語を省略している文の翻訳において,うまく主語を生成することができず,翻訳品質が低いことを報告した. 表3.4に主語を省略していることが原因で翻訳精度が低下した例を示す.なお,表3.4のMosesのみの手法では,単語区切りの学習データを用いてフレーズテーブルを作成している.また,表3.4の猪澤らの手法では,文節区切りの学習データを用いてフレーズテーブルを作成している.
入力文 | どこかの図書館で数か月懸命に勉強することが必要だ。 |
Mosesのみの手法 | I need some months in the library to study hard. |
猪澤らの手法 | Some few months in the library to study hard necessary. |
ここで,Mosesのみの手法におけるフレーズ対を表3.5に,猪澤らの手法におけるフレーズ対を表3.6に示す.
日本語フレーズ | 英語フレーズ |
どこ | I |
かの | some |
図書館で | in the library |
数ヶ月 | months |
懸命に勉強する | to study |
ことが必要だ | need |
。 | . |
日本語フレーズ | 英語フレーズ |
どこかの | Some |
---|---|
図書館で | in the library |
数ヶ月 | few months |
懸命に勉強する | to study hard |
ことが必要だ | necessary |
。 | . |
Mosesのみの手法のフレーズ対において,フレーズ対``どこ I"は不適切である.しかし,入力文には主語がなく,``どこ I"を用いて主語を出力し,出力文の翻訳精度が高い. 一方で,猪澤らの手法のフレーズ対では,``どこかの Some"を用いている.このフレーズ対は適切ではあるが,他のフレーズ対でも主語が生成されず,翻訳精度が低い原因となっている.よって,日英統計翻訳において,日本語文の主語の省略は問題である.