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b)学習データ及びディベロップメントデータへの主語補完の精度

学習データの主語省略文よりランダムに100文抽出し,4.4.3節で説明した主語補完方法の精度評価を行った.表9.3に結果を示す. また,主語補完が正しくない例文を表9.4に示す.



表: 主語補完評価結果
主語補完○ 主語補完×
96 4




表: 主語補完誤り文例
文例1 ``それは"天気になる。
対訳英語文1 It clears up .
文例2 ``それは"犬にコートを着せるなんて過保護だ。
対訳英語文2 It is overprotective to put a coat on a dog .
文例3 ``誰かが"誰かに足を踏まれた。
対訳英語文3 Somebody stepped on my foot .

9.4の文例1では,``それは"を補完している.しかし天気を表す文に対しては,主語補完を行うべきではない.文例2についても同様に,``それは"を補完すべきではない. また,文例3では,``誰かが"を補完している.ここで,対訳英語文2を日本語に変換すると,``誰かが私の足を踏んだ。"となる.しかし,テストデータの日本語は,``誰かに足を踏まれた"と,受身の構造となっている.これが原因で,主語補完が誤っている.
9.3より,4.4.3節で説明した主語補完方法でも,主語補完に誤りがある文が存在することが確認できた.今後,学習データに主語補完を行い,翻訳精度の向上を目指すためには,さらに精度の高い主語補完方法を提案する必要がある.



平成25年2月13日