next up previous contents
次へ: 対訳補完における自動評価の解析 上へ: 対訳補完についての考察 戻る: 対訳補完についての考察   目次

対訳補完における主語補完の精度

対訳補完で主語補完を行った1,109文より,ランダムに100文抽出し,主語補完の精度評価を行った.評価は,10.2.2節と同じ評価基準で行う.表55に結果を示す.

表: 主語補完評価結果
主語補完○ 主語補完×
96 4


また,主語補完が正しくない例文を表56に示す.

表: 主語補完誤り文例
対訳補完日本語文1 ``それは"天気になる。
対訳英語文1 It clears up .
対訳補完日本語文2 ``それは"犬にコートを着せるなんて過保護だ。
対訳英語文2 It is overprotective to put a coat on a dog .
対訳補完日本語文3 ``誰かが"誰かに足を踏まれた。
対訳英語文3 Somebody stepped on my foot .

56の対訳補完日本語文1では,``それは"を補完している.しかしこの文では,日本語としては,``それは"を補完すべきではない.対訳補完日本語文2についても同様に,``それは"を補完すべきではない. また,対訳補完日本語文3では,``誰かが"を補完している.ここで,対訳英語文2を日本語に変換すると,``誰かが私の足を踏んだ。"となる.しかし,テストデータの日本語は,``誰かに足を踏まれた"と,受身の構造となっている.これが原因で,主語補完が誤っている.

55より,対訳補完でも,主語補完に誤りがある文が存在することが確認できた.しかし,本研究で提案した対訳補完アルゴリズムでは,これらの主語補完の誤りを改善するのは難しい.これより,より主語補完の精度を向上させるためには,新たな主語補完アルゴリズムを考案しなければならないと考えている.


平成23年4月12日