また,主語補完が正しくない例文を表56に示す.
対訳補完日本語文1 | ``それは"天気になる。 |
対訳英語文1 | It clears up . |
対訳補完日本語文2 | ``それは"犬にコートを着せるなんて過保護だ。 |
対訳英語文2 | It is overprotective to put a coat on a dog . |
対訳補完日本語文3 | ``誰かが"誰かに足を踏まれた。 |
対訳英語文3 | Somebody stepped on my foot . |
表56の対訳補完日本語文1では,``それは"を補完している.しかしこの文では,日本語としては,``それは"を補完すべきではない.対訳補完日本語文2についても同様に,``それは"を補完すべきではない. また,対訳補完日本語文3では,``誰かが"を補完している.ここで,対訳英語文2を日本語に変換すると,``誰かが私の足を踏んだ。"となる.しかし,テストデータの日本語は,``誰かに足を踏まれた"と,受身の構造となっている.これが原因で,主語補完が誤っている.
表55より,対訳補完でも,主語補完に誤りがある文が存在することが確認できた.しかし,本研究で提案した対訳補完アルゴリズムでは,これらの主語補完の誤りを改善するのは難しい.これより,より主語補完の精度を向上させるためには,新たな主語補完アルゴリズムを考案しなければならないと考えている.