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概要

近年の機械翻訳では,対訳データから自動的に機械翻訳システムを構築する統計翻訳が主流となっている.しかし,統計翻訳において,様々な問題点がある.その問題点の一つとして,主語が省略されている日本語文の日英翻訳が挙げられる.日本語において,主語が省略されている日本語文が多く存在する.猪澤ら[1]は,この主語が省略されている日本語文の日英翻訳は,翻訳精度が低いということを報告している.
そこで本研究では,統計翻訳を行う前に,主語が省略されている日本語文に対して主語を付与し,どのように翻訳精度が変化するか調査した.結果として,自動評価と人手評価の両方において翻訳精度が向上し,統計翻訳において,主語が省略されている文に対し主語を付与する手法の有効性を確認できた.

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しかし,本研究における主語付与のアルゴリズムでは,主語の付与に誤りが生じる場合がある.主語の付与に誤りが生じた文は,理想的な出力が得られないと考えられる.このような,主語を適切に付与できなかった文に対し,適切な主語を付与することができれば,翻訳精度は向上すると考えている.今後は,より理想的に主語付与を行うためのアルゴリズムを考案する.



平成23年4月12日