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判断条件の種類不足による誤り

判断条件の種類不足による誤り例を示す.

(判断条件の種類不足による誤り例)
      入力文:太郎がカンニングを目撃する
      情緒主と関連事物との関係:乖離(太郎にとってカンニングは見たくないもの)

情緒主と関連事物との関係が「乖離」であるため,「目標実現・近(太郎,カンニング)」は偽であるので, 計算機は《なし》を出力する(情緒の出力を抑制する). 正解の情緒である《怒り》,《悲しみ》,《嫌だ》,《驚き》と比較した結果, いずれの場合においても,出力した《なし》は,不一致となった.

作成者の人数が最も多い《怒り》を正解情緒と設定し,考察を行う. 「カンニング」には,「試験のとき,隠し持った参考書や他人の答案を見るなどの不正行為をすること」という意味がある. 情緒主がカンニングを卑劣な行為であると考えたため,見たくない関係であり, 《怒り》を発生させると作成者が考えたと予想される. 《怒り》は〈規則や当然のことが守られていない〉という特徴が定義されている. この特徴を本辞書の判断条件で扱う「接近」と「乖離」の関係のみで表すことは困難であると考える. 計算機に《怒り》を出力させるためには,情緒主にとって関連事物が卑劣なものであるという意味をもつ判断条件が必要である. 本辞書で使用する判断条件は「接近」と「乖離」の関係は扱うことができるが, 情緒主にとって関連事物が卑劣なものであることを扱うことは不可能である. 以上から,本手法で使用する判断条件の種類不足による誤りであるとする.



平成25年2月12日