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統計翻訳による翻訳失敗の問題
日本語文に対して,翻訳に有効な文型パターン対が適合し,正しく中間言語文が
作成されたが,統計翻訳がその中間言語文を正しく翻訳できなかった場合がある.
表5.3に例を示す.
表 5.3:
統計翻訳で失敗した例
入力文 |
祖父は老いてもなお精力的に仕事を続けている。 |
中間言語文 |
even though 祖父 老い, he なお 精力的に 仕事 を 続け . |
翻訳結果 |
even though my grandfather old , he is still vigorously
continue to work . |
表5.3では,翻訳に有効な中間言語文への変換ができていると
判断した.しかし,統計翻訳を行った結果,「祖父 老い」の部分が「my
grandfather old」と翻訳され,動詞がない表現となってしまった.
このように,統計翻訳が中間言語文の日本語部分を正しく翻訳できない原因とし
て,日本語と英語の対訳の学習量に問題があると考える.学習に用いた中間言語
と英語のコーパスでは,日本語と英語が対応する部分が少ない.したがって,統
計翻訳に必要な学習量が得られなかったことが考えられる.この問題に対しては,
提案手法の学習文に日英対訳文を追加することによって,学習量を増やさなけれ
ばならない.
平成24年3月30日