翻訳対の追加手順

人手で作成した翻訳対をフレーズテーブルに追加する手順を図4.1に示す．

図 4.1: 人手で作成したフレーズ対への確率値の付与方法

手順1

日英重文複文文型パターン辞書[1]から対訳文を抽出し 前処理を行う．

日英重文複文文型パターン辞書[1]から抽出した対訳文の例を表4.3に示 す．

=1.5cm

表 4.3: 抽出した対訳文の例

彼のお母さんがああ若いとは思わなかった。

I never expected his mother to be so young.

愛と幸せに満ちた家庭にしたいと思います。

We hope we will make our home full of love and happiness.

彼女はにっこり笑ってぼくにあいさつした。

She greeted me with a big smile.

表4.3の日本語文に対して，``chasen''で形態素解析を行う．英語文に対しては 大文字の小文字化を行う．また，句読点の前にスペースを入れる． 前処理を行った後の対訳文を表4.4に示す．

=2.5cm

表 4.4: 前処理を行った後の対訳文の例

彼 の お母さん が ああ 若い と は 思わ なかっ た 。

i never expected his mother to be so young .

愛 と 幸せ に 満ち た 家庭 に し たい と 思い ます 。

we hope we will make our home full of love and happiness .

彼女 は にっこり 笑っ て ぼく に あいさつ し た 。

she greeted me with a big smile .

手順2

手順1で抽出した対訳文を用いてフレーズテーブルを作成する．作 成時のパラメータにはintersectionを用いる．

作成したフレーズテーブルの例を表4.5に示す．

表 4.5: パラメータintersectionで作成したフレーズテーブルの例

=0.01cm

手順3

手順2で作成したフレーズテーブルを参照して，人手で作成した翻訳 対に翻訳確率値を付与する．

翻訳確率値を与えたい翻訳対が，``コート の すそ the edge of my coat''の場合， フレーズ対が一致する表4.5，3行目の， ``コート の すそ $\vert\vert\vert$ the edge of my coat $\vert\vert\vert$ 0.5 0.000296246 0.166667 1.09309e-06 2.718'' の翻訳確率値`` 0.5 0.000296246 0.166667 1.09309e-06 2.718 ''を翻訳対に付 与する．

翻訳対が``オーバー コート を 脱ぎ捨て flung his coat off''の場合は4行目 のフレーズ対の翻訳確率値``0.5 3.88199e-08 0.5 6.46865e-06 2.718 ''を付与する．

翻訳対が``帽子 と コート を かけ ''の場合は6行目のフレーズ対の翻訳確率値 ``0.0416667 6.7781e-07 0.0833333 4.50333e-11 2.718''を付与する．

手順4

手順１で抽出した対訳文を用いてフレーズテーブルを作成する．作 成時のパラメータにはgrow-diag-finalを用いる．

作成したフレーズテーブルの例を表4.6に示す．

表 4.6: パラメータgrow-diag-finalで作成したフレーズテーブルの例

=0.1cm

手順5

手順4で作成したフレーズテーブルに手順3で翻訳確率を付与した翻 訳対を追加する．

表 4.7: 確率値を付与した翻訳対を追加したフレーズテーブルの例

=0.1cm

尚，本稿では，手順４で作成したフレーズテーブルを用いた翻訳をベースラインと 呼び，手順5のフレーズテーブルを用いた翻訳を提案手法と呼ぶ．