一方のパターンの任意記号に対応する記号がもう一方のパターンに存在しない という誤りの検出結果に以下のようなパターンがあった.ところで,任意化記 号とは,大括弧[]とその直前の#番号のことで,囲まれた要素は省略可能な要 素であることを示す.
日本語原文 | 地下鉄が停電したため、何百人もの乗客が1時間も暗闇で立ち往生させられた。 | |
英語原文 | A power failure stopped a subway train and caused hundreds of passengers to be stranded in the dark for an hour. | |
日本語パターン | /ytcfkN1が/cf(V2.kako^rentai ND2をした)!ため、/tk何百人/tckもの乗客が#3[/tcfkN4も#5[/tcfkN6]で]/cf(V7.sase.rareru V7^sase.rareru)#8(.kako .genzai)。 | |
英語パターン | N(V2 ND2) stopped N1 and 'caused'#8(^past ^present) hundreds of passengers to V7^base #5[in the AJ(N6)] for N4]. |
このパターンには,前述の誤りとは異なる誤りを2つ含んでいる.
ひとつは,日 本語パターンにおいて,名詞変数であるN6と,それにかかる格助詞 「で」が,任意記号により離れている点である.この誤りを「任意化範囲誤り」 と名付ける.しかし,この誤りを含むパターンを検出する適切な法則は見つか らなかった.
もうひとつの誤りは,英語パターンにおいて,名詞変数N4の直後の大 括弧閉じに対応する大括弧開きがないことである.この記述はパターンの仕様 にないので誤りである.この誤りを,「大括弧漏れ」と名付ける.この誤りを含 むパターンを検出する法則を,「ひとつのパターンにおいて,大括弧の開きと 閉じの数が合わない」とし,検出を行う.結果,76件検出した.
次に,大括弧漏れの検出結果を分析すると,次のようなパターンがあった.
日本語原文 | <すること>を楽しみにして待っております。 | |
英語原文 | We look forward to [do]ing. | |
日本語パターン | /y /tkN1は /cf<N2>を/c楽しみにして/ycf待っております。 | |
英語パターン | We N1 look forward to [V(N2)ing. |
このパターンは,「[do]ing」のように,原文において抽象表現されていること が原因となり,パターン誤りを引き起こしている.この誤りを,「パターンの 一般化誤り」と名付ける.