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考察

23の結果からわかる通り,単一の真理項を検 索条件とした場合,全検索文から翻訳に使えるパターンは少ないことが判る. しかし,表78の結果より, 6つの全真理項(文種別+統語構造+節間キーワード+節間の意味分類+従属節の意味 +主節の意味)を指定した場合,カバー率$R1$が80%と,ある程度高い値が得られることが示された.また 統語構造+従属節の意味+節間の意味+節間キーワードを指定した場合,正解率$P2$ が60.0%から100%と高い値が得られることがわかった.

カバー率$R1$と正解率$P2$の高さが本手法のメリットであり,何らかの入力に対して 必ず翻訳に利用できるパターンの出力が可能であることが判る.しかし残念な ことに,現時点では正解率$P1$はまだまだ低いので,本手法の実装には正解率 $P1$の向上に勤めなければならない.この為には,評価方法でも記述した様に, 検索した英文パターンの字面の問題解決,もしくは生成文の作成方法の改善のみ ならず,真理項の組み合わせによる検索条件の見直しも考えられる.

ここで,本研究を引き継ぐ際には,字面の問題はパターン辞書の問題にも繋がる ため,この点についてはパターン辞書作成の研究で行うことであり,本研究で改 善に尽力する必要性は少ない.ただし残りの2点,「生成文の作成方法」と「検 索条件である真理項の組み合わせ」の再検討が,正解率向上に対する今後のの課 題と考えられる.特に真理項の組み合わせ検索では,実測した入力文の数 が重文,複文共に2文しか無いため,結果にやや不安が残る.又,今回の実験では, 真理項の組み合わせの設定が,各真理項の影響力を判断するには難しい設定であ る.追実験を行うには,以下の様に単純な設定にする方法が良い.

本研究の結果より,条件の緩和により,ひとつ前の条件と比較するだけで各真理 項の影響力が判る様にする.特に複文では従属節の真理項の影響が強いので,早 期に組み合わせ条件から除外する.

例1:複文の真理項調査の場合

  1. 全真理項

    文種別+統語構造+節間キーワード+節間の意味分類+従属節の意味+主節の意味

  2. 前の条件より従属節の意味を除外

    文種別+統語構造+節間キーワード+節間の意味分類+主節の意味

  3. 前の条件より主節の意味を除外

    文種別+統語構造+節間キーワード+節間の意味分類

  4. 前の条件より節間の意味を除外

    文種別+統語構造+節間キーワード

  5. 前の条件より節間キーワードを除外

    文種別+統語構造

ただし,先に提案した方法にはある問題が存在する.それは,文章への影響力は 各真理項の単独の力では無く,他の真理項と相生した影響力の効果がある場合,先の提案で は判別が困難である.しかし,全ての可能性について実験するのは困難であるた め,いくつかの条件に限定する他ない.そこで,敢えて提案するとしたら,真理 項が統語的分類と意味的分類にわかれていることに着目し,以下の10通りの限定 実験も今後の課題に考慮できる.

例2:真理項の相生効果への対策調査例

  1. 統語的構造全て

    ・文種別+統語構造+節間キーワード

  2. 統語的構造の真理項単独

    ・文種別+統語構造

    ・文種別+節間キーワード

  3. 意味的分類全て

    文種別+節間の意味分類+従属節の意味+主節の意味

  4. 意味的分類のうち,2つの網羅

    文種別+節間の意味分類+従属節の意味

    文種別+節間の意味分類+主節の意味

    文種別+従属節の意味+主節の意味

  5. 意味的分類の真理項単独

    文種別+節間の意味分類

    文種別+従属節の意味

    文種別+主節の意味



平成18年3月20日