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目次
文型パターンで使用される任意要素は,「原文任意要素」,「文型任意要素」に
分けられる.
以下にそれぞれの任意要素を示す.
(1)原文任意要素
文型パターン記述において,原文任意要素は,文型パターン以外の要素の挿入位
置を表すものであり,離散記号(/小英字)で指定される.
該当する位置に現れた入力文の要素は,別途翻訳し,英文に組み込まなければな
らない1.
原文任意要素として認める要素は,(1)連用節,(2)連体節,(3)格要素,(4)連用
修飾要素,(5)連体修飾要素の5種類とされている.原文文型任意要素として認
める要素と挿入箇所を以下に示す.
- 連用節(/y)
節と節の間に連用節の挿入を認める.
同一の節内には挿入を認めない.離散記号 /y で示される.
- 連体節(/t)
名詞句の直前に連体節の挿入を認める .同一の名詞句内
には挿入を認めない.離散記号 /t で示される.
- 格要素(/c)
文型パターン内に存在する格要素の前後に別の格要素の挿入を認める.
但し,同一格要素内に別の格要素が挿入されてはならない.また,格要素の
ないところに格要素を挿入してはならない.離散記号 /c で示される.
- 連用修飾要素(/f)
挿入可能な連用修飾要素は,形容詞連用形,副詞,副詞
句のいずれかとする.挿入可能な位置は,文頭,述部の直前,形容詞の直前,
動詞の直前とする.離散記号 /f で示される.
- 連体修飾要素(/k)
挿入可能な連体修飾要素は,連体詞,「Aの」・「Aと」などの名詞句構成要素,
形容詞連体形,動詞連体形のいずれかとし,文型パターン内の名詞句直前への
挿入を認める.同一名詞句内への挿入は認めない. 離散記号 /k で示される.
以下に離散記号を挿入した文型パターンの例を示す.
- 日本語文
その知らせを聞いて彼女の顔は明るくなった。
- 文型パターン
/y$1/kを/cf(て|
で)
$1^
{#4[
/tkの
]
}/kは/cf明るくなった。
1 2 3 4 2 3
- 文型の先頭に連用節(/y)の挿入を認める
- 名詞の直前に連体修飾要素(/k)の挿入を認める
- 格要素の直後に格要素(/c)の挿入を認め,また,動詞の直前に連用修飾要
素(/f)の挿入を認める
- 名詞の直前に連体修飾要素(/k)の挿入を認め,また,名詞句の直前に連体
節(/t)の挿入を認める
(2)文型任意要素
文型任意要素は,文型パターン要素のうち,省略可能な要素を示す.それが削除
されても英語文型自体は変化しないが,それ自身の訳語選択の決定や訳語挿入位
置の決定が困難であるなど,要素自身の翻訳に困難さが生じる要素が,文型任意
要素として,任意要素記号([])で指定されている.文
型任意要素は,英文中に訳出すべき位置情報が指定されているため,該当
する部分の翻訳を組み込むことは容易である2.
以下に任意要素記号を用いた文型パターンの例を示す.
- 日本語文
彼女の歌を聞きながら聴衆は手拍子で合いの手を入れた。
- 文型パターン
/ytk#1[
の]
/kを/cfながら/tkは/tcfk手拍子で/tcfk合
いの/k手を/cf入れた。
日本語文の省略可能な要素(''彼女の'')が,文型任意要素とし
て文型パターンに指定されている.
平成17年3月23日