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意味類型を用いたパターンの対応付け

パターンを用いて翻訳するために,日本語語彙大系がある. 日本語語彙大系(構文大系)に示されている対応付けの具体例を図 1 に示 す.対応付けは,結合価パターンを用いて行う. 日本語表現において,結合価パターンは,名詞と動詞を組み合わせた形で登録し ている.同時に,それに対応する英語の文型パターンも登録している.


  
Figure 1: 動詞「持つ」の結合価パターン
\includegraphics[scale=1.2]{koubun-taikei.eps}

日本語語彙大系において,パターンを用いて日英を対応付ける方法[3]を 図 2に示す.


  
Figure 2: 従来の対応例
\includegraphics[scale=1.9]{imirui-nashi.eps}

2 のように訳語が複数存在する場合でも,1 つの原言語に 1 つの 目的言語と,単一的に対応している.この方法は単一的であるため,文脈に応 じて最適な訳語が選択できない.これに対して,概念を対応付けるための表現 形式を意味類型(例:原因,結果)と定義し,意味類型を介して 2 つの言語パ ターンを対応付ける方法がある.この方法を図 3に示す.


  
Figure 3: 意味類型を用いた方法
\includegraphics[scale=1.9]{imirui-ari.eps}


3 のように意味類型を用いると,パターンの対応関係は, 原言語と目的言語の間に単一的な つながりではなく,M(複数):N(複数)の対応となる.この対応関係 により,訳語表現 として複数の候補の中から,文脈に応じて最適な表現が決定できる可能性があ る.ところが,複数の候補から 1 つに絞る必要がある.

そこで本研究では,パターンを作成し,因果関係構文の対応表を作成する. そして,作成した対応表から意味的対応関係を調べ,一意に選択する手法を 考える.




2002-03-06