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研究の背景

従来の翻訳方式の一つとして,表現の意味と表現の構造を分離して別々に扱う 方法が挙げられる.これは,まず文を単語単位に分解して,単語ごとに訳語 を決定する.その後,単語間の文法的関係より単語同士を組み合わせて訳 語を合成する.しかし,実際の言語表現では,文を単語に分解すると,その過 程で文全体の意味が失われるので,元の意味が再現されなくなることが多い. そのため,意味的に適切な翻訳結果が得られない場合がある.従来の機械翻訳シ ステムにおいても,この問題を解決するために,連語や慣用表現など を単語に分解せずに,翻訳する方法などが試みられている.しかし,この方法 は逆に柔軟性に欠ける問題がある.

この問題を解決する方法の一つとして,意味としてまとまりを持つ表現をパター ンとしてとらえ,翻訳する方法が考えられる.パターンを用いた翻訳方式は, 意味としてまとまりを持つ表現に注目しているため, 文の構造が崩れることはないし,文全体の意味を失うこともない.

この方法により,両言語間でのパターン選択の自由度が増し,適切な対応関 係が得られると期待される.




2002-03-06