以上の理由から5.2.3節で考察した原因が改善されたとしても,全ての名詞が 結合価文法によって訳し分けができると考えられない.しかし「(6)慣用表 現」は,パターンの登録によって 確実に解決できる.したがって,現状の91%の正解率から94%の正解率を得ら れるようになると推測される.
なお,現在の用言中心のパターンでは上記の94%までの精度向上しか見込めな いが,今後は名詞の訳語選択の観点からパターンを改良することによる解決方法が考えられる. 具体的な改良の方法は,パターンの意味属性をより詳しく定義することと,必 須格でない格を名詞の訳し分けのために任意格として追加する方法が挙げられ る.