next up previous contents
次へ: まとめ 上へ: (6)慣用表現 戻る: 5.2.3 先行研究との比較   目次

5.2.4 名詞のまとめ

名詞の訳語選択において,結合価文法は顕著な成果をあげることはできなかっ た.その原因としては,現在使用されているパターンが用言を中心としたものであることが挙げら れる.つまりパターンは用言を訳し分けるために,用言に係る格要素と最低限 の意味属性しか定義していない.したがって,その定義外の名詞の訳 語選択についてはパターンが適用されないため効果がない.

以上の理由から5.2.3節で考察した原因が改善されたとしても,全ての名詞が 結合価文法によって訳し分けができると考えられない.しかし「(6)慣用表 現」は,パターンの登録によって 確実に解決できる.したがって,現状の91%の正解率から94%の正解率を得ら れるようになると推測される.

なお,現在の用言中心のパターンでは上記の94%までの精度向上しか見込めな いが,今後は名詞の訳語選択の観点からパターンを改良することによる解決方法が考えられる. 具体的な改良の方法は,パターンの意味属性をより詳しく定義することと,必 須格でない格を名詞の訳し分けのために任意格として追加する方法が挙げられ る.



平成15年5月19日