その結果,特に動詞についてはデフォルトの訳語と比べ34%の精度の向 上が見られた.しかし名詞はパターンの性質などから顕著な効果は見られず, 6%の向上にとどまった.また失敗例の分析から,パターンの拡充などによっ て,結合価文法の特徴を限界まで用いることができれば,動詞においてはさらに精度向上が期 待できることがわかった.しかし,名詞においては結合価パターンが動詞の訳 し分けを目的に作られた経緯から,現在のものでは名詞の訳し分けが困難であ ることがわかった.しかし現在のパターンにさらに詳しい意味属性の定義や任 意格を追加することにより,名詞の訳し分け精度を向上させられる可能性があ ることがわかった.以上の考察から現在の結合価パターンにおける限界は動 詞で98〜99%,名詞で94%と推測される.
今後は本研究で対象としなかったIPAL辞書以外の動詞,名詞についても調査を 行ない,結合価文法の効果をより詳しく検証する必要があると考えられる.
謝辞
本研究の作成にあたり,御指導頂きました徳久助手,池原教授,村上助教授に
厚くお礼申し上げます.
また本研究で用いた,「ALT-J/E」および言語関係の資源はNTTとの共同研究の関係 から使用させて頂きました.ここにお礼申し上げます.