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(2)パターンの照合に失敗した場合

一つの動詞に対して複数のパターンが登録されていると, 日本語文に対するパターンの選択が問題になる. 具体例を例8及び例9に示す.

例8:彼は海外で夏休みを送った

対訳8:He spend his summer vacation abord.

ALT訳8:He saw a summer vacation off at a forein country.

例8において,動詞『送る』の場合12種類のパターンが日本語語彙体系に登録されている.この例文に 対しては「$N$1(人)が$N$2(時間,休暇)を送る $N$1 spend $N$2」のパターンを適用す れば,正しい訳語が導き出される.しかし実際には, 「$N$1(人)が$N$2(主体)を$N$3(場所,場,建造物)で送る $N$1 see $N$2 off at/in $N$3」が適用され,誤った訳語が選択されている.この問題は対象の文と パターンを照合させるアルゴリズムの問題であり,現在改善方法が研究されて いる[15].

例9:彼はフグに当たった

対訳9:He was poisoned by a puffer fish.

ALT訳9:He consulted フグ.

例9では名詞『フグ』が辞書登録されていないために翻訳されていない. これにより,パターン「$N$1(人)が$N$2(魚介,食糧)に当たる $N$1 be poisondd by $N$2」の『$N$2(魚介,食糧)に』の部分に当たる名詞の意味属性 を判断できない.よってパターンを照合する際の情報が不足し,パターンの判 断を誤ったと考えられる.この問題については例9中の名詞『フグ』を辞書登録さ れている名詞『河豚』に書き換えて,ALTで再実験を行ったところ「He was poisoned by a globfish.」と,正しい訳語を得ることができた.よって例9 のような場合には訳せなかった名詞を辞書登録することで解決できると考えら れる.



平成15年5月19日