これらの時間概念を言語表現から見た場合,英語では,テンスとアスペクトを明 確に区別するが,日本語においては,テンスとアスペクトは深く結び付いている.
以下に例文を示す.
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日本語において「到着した」という動詞は,発話時より過去の事象を述べている と同時に,発話時現在までの結果というアスペクトの役割も担っている.それに 対して,英語では,テンスを過去形であるarrivedが表し、アスペクトは,現在 完了形が表している.
このような言語表現上の違いは、それぞれの言語の持つ認識の違いに起因してい ると考えられるため、機械翻訳において,言語表現上の違いを克服するためには, 単に、両言語間の表現上の対応関係を規則化するのではなく、原言語の表現から 対象間の客観的な時間の関係を抽出した後、得られた客観的な時間関係を目的言 語の枠組みの中で表現し直すような仕組みを実現することが望まれる.
そこで,本稿では,動詞と時間副詞を時間的性質により分類し,日本語時間表現
から言語に依存しない中間表現を介して英語への翻訳を行う方法を提案する.