Next: 交替現象の解析規則
Up: 抽象名詞で形成される表現の意味的類型化と翻訳規則
Previous: 抽象名詞の翻訳手順
抽象名詞「の」の交替現象の解析
「の」の交替現象とは,文中の「の」を,文意を変化させることなく他の語と置
換できることである.交替先の抽象名詞として「こと」「もの」「ところ」「わ
け」「とき」「ひと」が存在する.次に例文を示す.
- 例文3
- 年内に景気が回復するの(こと)は、極めてむずかし
い.
- 例文4
- 日本料理はなんでも食べられるが,一番好きなの
(もの)はすきやきです.
- 例文5
- 昨日,彼女がカバンを持ってバスに乗り込むの(と
ころ)を見た.
- 例文6
- 彼の成績が悪いの(わけ)は,しょっちゅう学校を休
んでばかりいるからだ.
- 例文7
- この前お会いしたの(とき)は,いつでしたか.
- 例文8
- のろのろ運転しているの(ひと)は,たいてい免許を
取り立ての人だ.
そして,次の例文はどのような名詞とも交替不可能な場合である.
- 例文9
- 見つかるといけないので、彼は隠れた.
- 例文10
- 彼は勉強したのに,試験に落ちた.
- 例文11
- きみは切符を買う必要はなかったのだ.
本研究ではこれらの交替現象を解析するための規則を構築した.
Noboru KURUMAI
2001-03-20