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南の分類を拡張した従来の方法を用いた係り受け解析の方法の誤りを見てみると、
表のように連体節には係らないとして誤る場合が多く、
誤り全体のうちの半数近くを占めている。
南の分類の場合、連体節が含むことができるのは名詞句の一部になることができ
るB類であるが、実際の文ではB類の出現数が多いうえ、分類に意味的な判断も必
要なため、それだけでは判断が困難である。そのため白井らは南の分類を生かし、
計算機処理を可能にするために再分類した[5]。白井らの分類による
と一般名詞を底とする連体節はB類に属し、A類、A類+読点、B類以外に分類され
る連用節は係らないとなる。
しかし、読点は通常遠い係り先をさす場合に使われるが、連体節の場合、述語の
並列や因果関係などをさすなど、述語を対比させて並べることもあり、近い係り
受けでも読点が使われる場合も多い。また、接続助詞「〜のに」が、C類に分類
される「〜が」「〜けど」で言い換えのできるような場合で使われることもある。
そのことから、従来の述部の表層情報による分類では充分な精度を得られていな
かった。
たとえば、図の場合、「追跡し、」も「向けて」もB
類+読点にあたり、「測る」「開かれた」はどちらもB類に分類される
4#4。この場合、B類+読点に分類される従属節はB類の節に係ることはできず、
従来の方法では正しく係り受け関係を判定できない。
Table:
従来法での誤り
|
従来法 |
分類 |
正 |
誤 |
係る (63) |
25(14%) |
38(22%) |
係らない (108) |
90(52%) |
18(11%) |
合計 (171) |
115(67%) |
56(32%) |
asano
2000-03-15