next up previous contents
Next: 考察 Up: 名詞の意味を介した複合的連体節の構造解析について Previous: 共通要素による規則

実験結果

毎日新聞科学欄、経済欄(総数97,912文)から述部を6つ以上含み形態素解析の失 敗のないもの107文を取りだし、その中から連体節述語と複合連体節を構成する 可能性のある連用節述語のペア(総数171)に対して作成したルールを以下の手順 で適用する。
   
Table: 実験結果
  従来法 提案手法
[0pt][0pt]分類
係る (63) 25(14%) 38(22%) 34(19%) 29(16%)
係らない (108) 90(52%) 18(11%) 104(61%) 4(2%)
合計 (171) 115(67%) 56(32%) 138(80%) 33(19%)

規則を適用した結果、係る場合を正しく係ると判定する場合が25件から34件に、 係らない場合を正しく係らないと判定する場合が90件から104件に増え、全体で の正解率は80.7%となった。また、従来の手法で正しく解析できるが、本手法で 解析を誤る例は、係る場合の判定において8件、係らない場合の判定において3件 で合計11件であった。 解析例を図[*]に示す。この場合、連用節「落ちても」の要素とし ては「吸着力が」が、また、連体節「維持する」の要素としては、「仕組みが」 「吸着力を」が候補として挙がり、「落ちる」「維持する」の用言意味属性はそ れぞれ「相対関係」「行動」が選ばれる。また各格要素の名詞意味属性は、「落 ちる」の要素とされた「吸着力」が「性質」としての「吸着力」、「維持する」 の要素とされた「仕組み」「吸着力」は、それぞれ「構造」「力(物)」として格 を埋めている。このうち、どちらの節にも存在する「吸着力」という名詞の「性 質」「力(物)」という意味属性は親子関係にあり、優先順位が12番にあたる「親 子関係」の規則に適合し、「係る」と判断される。 日英機械翻訳システムALT-J/Eの連体節における誤りが誤り全体の35%だったこ とを考えると、10%程度を改善できる可能性がある(表 [*])。
  
Figure: 解析例(係る場合)
11#11



asano
2000-03-15