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規則の検証


解析例を図[*]に示す。この場合、「考慮し、」は ALT-J/Eの結果にしたがって「(力を)かけ、」に係るとし、「(力を)か け、」は、正解が「(応力計算を)する。」であるのに直後の同じ「B類+読点」で あって助動詞「れる」のついた「押しつぶされたり、」にかけるとしてしまう。 また、「押し潰されたり」は、以後の「倒壊したり」、「しない かという」を越えて文末にかけてしまう(ALT-J/Eも同様)。「倒壊したり 」は、直後の同じB類であり助動詞「ない」を含む「しないかという」 にかける。(ALT-J/Eは文末にかけてしまう。)

規則を適用した結果、正解が誤りになる個所が20、誤りが正解になる個所が42 あった。したがって、総合的には22個所についての誤りを修正する結果となり、 ヒューリスティック適用後のALT-J/Eでの誤り率が48%だったことを考えると9% の向上となった。(表[*])決定木による属性の導入の仕方と、試験 文に違いがあるので完全に公正な比較にはならないが、決定木における前文節タ イプ、後文節タイプの効果がそれぞれ9.34%、0.52%であった[4]こ とを考えると、述語間の係り受け関係の決定における文節タイプの効果の多くは 助動詞と接続助詞によるものではないかと考えられる。

規則を適用した結果、誤りになる個所は、語幹連用形や接続助詞「て」 などから、「せる(使役)」、「れる(受け身)」に係る場合がいくつか見られた。 この場合、使役と受け身の助動詞はA類でも現われることができるため、判断の 段階の評価が助動詞の有無だけでは判断できなかったと考えられ、前文節と後文 節での要素のつながりを検討する必要があると考えられる。

   
Table: 実験結果
  ALT-J/Eの結果 規則適用後
正解 127(52%) 149(61%)
誤り 119(48%) 97(39%)
合計 246(100%) 246(100%)




asano
2000-03-15