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おわりに

本研究では,音節波形接続方式を普通名詞に応用したときの,合成音声の品質 を調査した.音節波形接続方式は,音節素片を,音節素片が属する単語のモー ラ数と音節素片の単語中のモーラ位置と音節素片が属する単語のアクセントの 言語パラメータのみを用いて選択し,音響的なパラメータを用いていない.

聴覚実験における合成音声の単語了解度は,手動ラベルの場合で99.6%が得ら れた.また,オピニオンスコアはそれぞれ4.3が得られた.一方,自然音声の 単語了解度は99.8%,オピニオンスコアは4.9であった.また,対比較試験に おいて,合成音声の平均19.4%が自然音声より自然であるとの結果を得た.

これらの結果から,アクセントを考慮した音節接続型音声合成で得られた普通 名詞は,非常に自然性の高い合成音声であることが示された.

今後は,決定木を用いたクラスタリングを用いて,任意の音声を合成できるよ うにしたい.また,波形候補が複数残った場合の絞り込み手法や,考察で述べ た手法の検討を行い,さらに自然音声に近い合成音声の作成を目指したい.



Jin'ichi Murakami 2008-08-23