合成音声は, 自然音声と同程度の単語了解度が得られている. 地名が耳なれないものであることから, 自然音声の単語了解度すら100%ではない. このことを考慮すると, 合成音声は, 電話番号案内システムのようにユーザーの入力を 反復して確認を求めるような用途では 十分利用できると思われる.
オピニオンスコアが悪いサンプルを調べてみると, 母音-母音,母音-半母音など有声音の接続部分における 不連続感が悪影響を及ぼしていることがわかった. このようなサンプルを減らして 全体的に音質を上げるために, 音節部品選択時に複数候補があった場合は パラメータとしてピッチ周波数などを加え, そのつながりの良いものを選択する, などの方法が考えられる.
また,件数は少なかったが,音節部品用に発声した 地名が「豊田1」(トヨタ+イチ)のように 複合語になっていたためにイントネーションが 不自然になった場合もあった. このような地名はあらかじめ合成対象から除いておく 必要があるが, 接尾辞(数字,「甲」,「乙」,「丙」など) に着目し,漢字表記と読みの情報を用いて 半自動的に除くことが出来る.