next up previous
次へ: 発話速度からみた自由発話音声 上へ: 自由発話の音響的な特徴 戻る: 自由発話の音響的な特徴

ラベリング作業からみた自由発話音声の崩れ

2に、音声データのラベリ ングの作業において見受けられた、自由発話の音素の定性的な特徴 を挙げる。なお、ラベリングの基準は文献 [8]にしたがった。これらから、自由発話においては 音素の境界はかなり曖昧になっていることや、朗読発声には見られ ない音が現れることがわかる。


表 2: 自由発話の音素の定性的特徴
1 文の語尾の音素が不明瞭になる。
  (例: 「なんですか」の「か」がほとんど聞こえない。)
2 母音/a,i,u,e,o/全てに無声化が存在する。
  (朗読発声では/a,e,o/は、あまり無声化しない。)
3 2重に解釈できる音素が存在する。
  (例:「んー」(考え込むとき発声している音)は
  /N/あるいは/uN/の 両者に解釈できる。)
4 子音/r/をともなう音節の発音が全体的に弱い。
  (例:「そうすと」の「る」がほとんど聞こえない。)
5 母音(特に、文末の母音『a』)の第1フォルマントが
  あらわれないことがある。
  しかし、第1フォルマント以外の構造は明確で、
  波形も母音の特徴を備えている。(話者MTKにおいてのみ)



Jin'ichi Murakami 平成13年10月5日