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各種加工

前節までで得られた日英文型パターンに対して「ゼロ代名詞の補完」,「冠詞の削除」を行う.

(1)
主語の補完

 対訳例文において英語パターンで主語となる名詞が日本語側では記述されていない(ゼロ代名詞化されている)場合,日本語側パターンのゼロ代名詞の部分にパターン任意要素記号を使用して主語を補完する[*]

 なお,この処理では,重文や複文の主節と従属節が同一の主語を持つか否かに注意する.

<例>
下例で、<$N1$は>の要素と($N1$|I)の要素が対応する。通常<>記号の部分の名詞変数$N1$に該当する名詞がバインドされ、英語側でその訳語が主語として使用されるが、<>の部分に該当する要素がなくても文型照合に成功する。但し、その場合、英語側の主語は、”I”が使用される。

車を持つだけの資力がない。 → <$N1$は>$N2$を/$V3$だけの/$N4$がない。

I don't have means enough to have a car. → ($N1$|I)do not have $N4$ enough to $V3$ $N2$.

(2)
冠詞(a, the)の削除

 英文生成過程では,名詞に対する冠詞の必要性とその種類および数を決定することが重要であるが,これらは英語訳語に依存して決まることが多いため文型パターンで厳密に定義することは困難である.そこで,英語パターンを使用した英文生成では,形態素調整処理において名詞変数の直前に冠詞のついていない名詞変数について冠詞と数の表現の必要性を判定するための処理を起動することとする.

 従って,英語文型パターンに対して,文の意味上,定まった冠詞を要求する文型では,変数Nの前の冠詞を字面のまま残し,それ以外の場合は,冠詞はすべて削除する.



平成16年8月30日