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ラベリング作業からみた自由発話

音声データのラベリングの作業において見受けられた自由発話の音素の定性的な特 徴を表3に示す。なお、ラベリングの基準は文 献[19]に従った。これらから自由発話では音素境界がかなり曖昧になって いることや、従来の朗読発話には見られない音素が現れていることがわかる。


表 3: 自由発話の音素の定性的特徴
1 文の語尾の音素の発音が弱くなることがある。
  (例: 「なんですか」の「か」がほとんど聞こえない。)
  (ただし、発声が弱くでも音素境界が明瞭な場合がある。)
2 母音/a,i,u,e,o/全てが無声化することもある。
  (朗読発話では/a,e,o/は、あまり無声化しない。)
  (例:「それで」の/o/と/e/が無声化する場合がある。)
3 判断できない不明瞭な音素がある。
  (例:「んー」(考え込むとき発声している音)は
  /N/あるいは/uN/の 両者に解釈できる。)
4 子音/r/をともなう音節の発音が全体的に弱い。
  (例:「そうすと」の「る」がほとんど聞こえない。)
5 母音(特に、文末の母音『a』)の第1フォルマントが
  あらわれないことがある。



Jin'ichi Murakami 平成13年5月7日