本章で使用したアクセント情報の持つ情報量の計算方法は、3種類 の仮定を含んでいる。
この実験では、入力単位を文節にした。したがって文と文節におい てアクセント情報の情報量の差はないと仮定している。
漢字ー音素・アクセント変換は、漢字仮名交じり文を、必ず正しい 音素情報およびアクセント情報に変換すると仮定している。
音素ー漢字変換において変換方法として文節数最小法を用いた。し かし、文節数最小法が元の漢字仮名交じり文を生成するとは限らな い。また、単語接続情報などの文法による候補の数の絞り込みを行 なっていない。そのため大量の非文が生成される可能性がある。
これらの仮定により7.2.2の実験から求めたアクセ ント情報の情報量は大きな誤差を含んでいる可能性がある。しかし 別の方法で求めたアクセント句境界の位置の持つ情報量の値および アクセント核の位置の持つ情報量と、ほぼ一致することから、本報 告で求めた情報量は、日本語の音声におけるアクセント情報の持つ 情報量を、ほぼ正しく表していると考えている。