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漢字ー音素・アクセント変換を利用した測定方法

ところで漢字仮名交じり文を音素情報およびアクセント情報に変換す る漢字ー音素・アクセント変換は、規則音声合成の分野で研究され続け ている。この結果アルゴリズムも、かなり確立していて高い変換精度 が得られている[16][46]。そして、音素情報か ら漢字仮名交じり文に変換する音素ー漢字変換は表記と発音が異なる 単語(例えば鼻音や長音を含む単語および助詞の``は''と``を'')が 存在していることをのぞけば、従来の仮名漢字変換と技術的に同等で ある。

以上のことを考慮して、本章では漢字ー音素・アクセント変換を 利用することによって7.1.2節で示した アクセント情報の持つ情報量の基本的な測定 方法と等価な方法を考案した。この方法を次に示す。

  1. 初めに任意の漢字仮名交じり文を音素情報とアクセント情 報に変換する。この変換は1つの漢字仮名交じり文に対して1つの 正しい音素情報とアクセント情報が出力されるとする。

  2. 次に、この情報から音素情報のみを選択して、この情報か ら複数の漢字仮名まじり文を生成する。この音素ー漢字変換では1つ の音素情報に対し複数の漢字仮名交じり文が出力される。

  3. 次に、これらの漢字仮名交じり文を再び音素情報と アクセント情報に変換する。この変換は1つの漢字仮名交じり文に 対して1つの正しい音素情報およびアクセント情報が出力されると する。

  4. 最後に、これらの出力された音素情報とアクセント情報を、 元の音素情報およびアクセント情報と比較して、音素情報およびア クセント情報の一致する漢字仮名交じり文の数と音素情報の一致す る漢字仮名交じり文の数を比較する。

この方法は、漢字仮名交じり文を音素情報およびアクセント情報に 正しく変換できると仮定すれば、7.1.2節 で示したアクセント情報の持つ情報量の基本的な測定方法と同一に なる。この仮定は正しくないが、漢字仮名交じり文を音素情報およ びアクセント情報に変換する漢字ー音素・アクセント変換の変換精度 は、かなり高いため、この方法はアクセント情報のもつ情報量を、 近似ではあるが、得られると予測される。



Jin'ichi Murakami 平成13年1月5日