マージの短所

MF同一質問ノード融合手法では,マージをすることにより対話の内容が把握しづらくなる場合があった.他の対話では質問されることのないユニークな質問が含まれる対話が存在する.しかしこのユニークな質問を含む対話が,他の多くの対話に共通する質問を含んでいることで,マージが生じる.このようなユニークな質問を含む対話がマージされることで対話の流れが悪くなる場合があった.図5.8のQuestion19からQuestion20への流れが実際に対話の流れが悪くなった実例である.

マージ前はQuestion19で修理申し込みをし,Question20でお客様情報の確認を取り,Question21で日程調整を行う流れであった.しかしマージをしたことによってQuestion19で購入店に連絡を提案し,Question20 でお客様情報の確認を取り,Question21で日程調整を行う流れになり,対話が不自然になった.

対話の流れの大部分がユニークなものはマージせず,一本の状態でフローチャートに存在するとより素早く内容を把握できると考えられる.またこのような対話はマージすることで対話が不自然になるので,マージをするべきではない対話であると考えられる.このことからMF同一質問ノード融合手法の短所としてユニークな対話をマージしてしまう可能性があるという問題点が考えられる.実際にユニークな対話をマージした例を図5.7と図5.8に示す.図5.7のQuestion20とQuestion21はこの対話でしか質問されないユニークな質問である.図5.8はユニークな質問を含む対話をマージしてしまった時の対話である.

図: マージ前のユニークな対話
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図: ユニークな対話をマージした対話
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MF同一後続一致ノード融合手法では完全一致のみマージをするので,対話の流れの大部分が一致していても対話の一つ質問が多い場合など,対話の内容が一部でも異なるだけでマージが行われずに類似した内容がフローチャートに残る場合があった.このようなものがマージされずに残ってしまうことがMF同一後続一致ノード融合手法の短所であると考えられる.実際に残ってしまう対話の例を図5.9に示す.図5.9には2つQuestion17出現するが,片方のQuestion17はQuestion22とQuestion19へと続き,もう片方のQuestion17はQuestion22とQuestion18へと続いており,Question17以降の対話が一致していない.このことから2つのQuestion17はマージされずにフローチャートに残ってしまう. この2つの対話の違いは片方はQuestion17,Question18,Question19という順番で質問されるか,Question17,Question19という順番で質問されるかの差である.Question18は購入日を聞く質問であるが今回の対話の流れでは,質問がない場合でも対話内容にあまり変化はないと考えられるので,この2つの対話はマージしても良いと考えられる.

図: MF同一後続一致ノード融合手法ではマージできない対話
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MF同一後続類似ノード融合手法では長所で上げたような対話の流れが少し異なるような場合でもマージを行う.しかしこの方法の短所として,異なっている個所が他の対話にはないユニークな質問や回答であった場合,マージをすることで不自然な対話になる可能性があるということが考えられる.

また全ての方法において,表で質問の表現は似ているが内容が異なる質問が同じ質問として扱われることにより,マージが行われ対話の内容が悪くなる場合があった.これは最終的な対応などが異なる場合があるのでマージするべきではないものがマージされてしまった事例である.実際の例を図5.10と図5.11に示す.

5.10では,Question22が2つ出現するが質問の内容がそれぞれ「様子を見てください」と「修理受付が完了した」であり内容が異なっているが同じQuestion22に分類されていることでマージされてしまう.このような箇所をマージしてしまうことで対話の内容が悪くなることがあった.

図: 異なる内容の質問が類似質問となされている対話
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図: 異なる内容である質問がマージされた対話
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